曇徴(どんちょう、生没年不詳)は、7世紀に高句麗から渡来した僧である。『日本書紀』には、次のような記述がある。近年まで、製紙の記述がここにおいて初出するという理由から、一般に曇徴は日本における製紙の創製者とみなされてきた。しかし、仮に曇徴によって初めてもたらされたのなら、碾磑の場合と同様にそう記されていたはずである。寿岳文章はその著書『日本の紙』の中で、諸文献を精査した上で、この記述は僧侶でありながら、儒学にも通じ、工芸面にも暗くなかった曇徴への讃辞であり、彼が絵具や紙墨を初めて作ったという意味に解するよりも、その製作にかけてはなかなかの達人であった、と取......
曇徴(どんちょう、生没年不詳)は、7世紀に高句麗から渡来した僧である。『日本書紀』には、次のような記述がある。近年まで、製紙の記述がここにおいて初出するという理由から、一般に曇徴は日本における製紙の創製者とみなされてきた。しかし、仮に曇徴によって初めてもたらされたのなら、碾磑の場合と同様にそう記されていたはずである。寿岳文章はその著書『日本の紙』の中で、諸文献を精査した上で、この......